以前チャツウッドに住んでいて(利用してて)日本に帰国しちゃった皆さん。
「あなたの」チャツウッドは見事な変貌を遂げちゃった。
見よ、このチャツウッド駅前を!
あの頃の牧歌的な雰囲気は跡形もないんだよ。ふふふ。
どうだ、まいったか!
撮ろう撮ろうと思ってたのをやっと。
あ、「栄光学院」跡の書道教室は変わらずの場所で細々とやっとります。
*
*
*
また長編をひとつw
2007年05月20日MIXI日記より転載
********************************************************************************
塾から(ジムからも)の帰り道にあるコリアンの食品雑貨店。
大したものが置いてあるわけでもないが、
とにかく帰り道なのでちょくちょく利用する。
先日、ボディコンバッターの先輩であるAさんと
ジムの帰りにちょっと寄ったときのこと。
その店のオヤジ(韓国人/35歳前後/ちょっとくたびれた感じ)が
突然ボクに日本語で話しかけてきた。
「日本人てすか?」
普段オレ一人で買い物に行くときは喋らないのだが
その日はAさんと一緒だったから日本語で会話してたのだ。
「そうです。」
「そうてすか。ても日本人には見えませんね。韓国人に見えます。」
この店のオーナーが
数ヶ月前に彼にかわったことは知っていた。が、
今まで話しかけられたことは一度もない。
韓国語でもないし、英語でもない。
もしかしたらヒンドゥー語で話しかけられていたのかもしれないが、あいにくオレはヒンドゥー語だけは苦手だ。
(自転車の両手離しも苦手だ。)
それに韓国人に韓国人に見えると言われたこともない。
自分としては、どっからどう見ても、いわゆるステレオタイプ化されたコリアン像(えらが出ているとか、目が細く、釣りあがっているとか)ではないと思うが、相手がそういう以上、どこかしら面差しが高麗人の王族の末裔かなにかに見えてしまうのだろう。やはり出ちゃってるんだな、オーラが…。
しかし考えてみると、その国の人にその国の人に見えると言われるというのは、悪い意味は含んでいないと想像できる。
マネージャー・ヒデがケニア人に「日本人には見えない。ケニア人に見える」と言われるのと同じだろう。日本人のオレから見ても彼はケニア人に見える(問題があるとすればオレがケニア人を知らない点だか、それはヒデを知っているということで解決できる)。
これは使命だ!!
またまた使命が舞い込んできた。
オレはそう直感した。
今度は親善大使としての大きな使命だ。
険悪化しつつある日本と韓国の橋渡しをせよ、との
神の言葉が聞こえた(気がした)。
ゼロコンマ数秒の間に
数限りないスィチュエーションを想定し切り、
どうすれば日韓漁業協定の話し合いがスムーズに行われるようになるかを考慮しつくした結果、この言葉を選択した。
「どうもありがとう」
日韓関係を正常に保つには、
恐らく最高の答えだったろう。
特にとりたてて有難い気分でもないが、
相手の言ったことを好意ととらえるなら、
返す答えはこれしかない。
これで「日本海」が「東海」にされずに済む。
安倍総理の仕事の手伝いができて誇らしい気分だ。
「ワーホリてすか?」
さらに質問が来た。
オヤジの顔は表情に乏しく、その真意が掴みにくい。
うーん、
しかしコリアンショップのオヤジがオレなんかに対して一体何の興味があるのか分からないが、オーストラリアに滞在を許可されているヴィザの種類まで聞いてくるとはただ事ではない。
彼の言うワーホリとは、ワーキング・ホリデーヴィザ(30歳以下1年間取得可能。場合によって延長可能)保持者のことをさしているのだと思われるが、「ワーホリ」という言葉にイイ意味が込められているのかどうかは判断しづらい。
スチューデントかどうかを尋ねられるのなら、オレが纏っているオーラがアカデミカルに輝いているのだなと推測可能だ。
しかし、
ワーホリかどうかなら「なんだそのちゃらちゃらした格好は。親の金で毎日遊び放題なんだろ。」なんつって説教をくらう可能性がないとは言えない(ワーホリ君ごめんね、キミのことじゃないから)。
しかもオレはいつも殆どそう言われても文句の言えない格好をしている。しかもアカデミックからは一番遠い位置にいる(気がする)。
「ボクは永住です」
彼がこの言葉を信じるかどうかは別として、
オレは正直にそう答えた。
正直に話しているにも関わらず、何だか言い訳がましいウソをついているかのような錯覚に陥って、背中と脇の下に変な汗をかいた。嘘発見器に掛かっていれば確実に反応が出ているところだ。
「しことは何をしていますか」
おいおい、オヤジ、待ってくれ。
これって職務質問なのか?
オレはただ、自分のためのジュースと
ヒデたちシェアメートのための
アイスを買いに来ただけなのだよ。
オレのデータをとってどうしようと?
もしかして、KCIA…。
高麗人の王族の末裔を探しているKCIAが
ついにオレを見つけ出したってことなのか…。
オヤジの日本語が上手いのも日本でスパイを…。
ちぇっ、マジかよ。
いや、そんな、すぐに国王になれとか言われたって
オレは今シドニーを離れるわけには行かないし、
日本の両親のこともあるし…。
オレ、ピぃーンチ!
神から授けられた使命を今回ばかりは
最後まで全うできそうにはなかった。
オヤジの口元には、
まだまだ質問したくてウズウズしてるというような
薄い笑みが浮かんでいた(気がした)。
質問は時間稼ぎかもしれない。
捕獲される前に早く逃げなくてはいけない。
Aさんが一流のボディコンバッターだとしても
訓練されたKCIAに単独で勝てるかどうかは分からない。
安倍総理には申し訳ないが、
竹島問題はしばらく解決しないかもしれない。
本当に申し訳ないと、
総理の顔を思い浮かべながらオレは思った。
後日談
そんなことがあったのにまた買い物に行っちゃうオレもオレだが、オレが行くとオヤジはコーヒースティックをおまけにくれたりして妙に優しい。あの日を境に、妙に笑顔だ。
これでオレが高麗王朝の末裔だということがはっきりした。
0コメント