女の子の手作り弁当というものは、
別の角度から旨さがプラスされて、
それはまた格別である。
これに関して男子諸君に異論はなかろう。
自らを振り返ってみれば、
人によっては味まで思い出せるはずである。
中学1年のとき、
夏休みに彼女とちゃりんこで川に遊びに行ったとき
その子が作ってきてくれたおにぎりと卵焼き。
旨くないはずが無い。
その明くる年の冬休み、
今度は別の女の子と初詣に行ったとき…
あ、そういえば
小学校5年生のときも…
って、ちょっと待った。
全部書く必要はないのでここでは割愛する。
で、本題。
今日はスペシャルな弁当をもらった。
スペシャルというのは単にデカイというだけのことだが、
スペシャルであることに変わりは無い。
朝、本日の職場(今日は土曜日)に出勤。
(仕事はまあ、ある意味、動物園の飼育係のようなものである。)
さて、いつものように鍵を開けて檻に入ると
女の子がつかつかっと寄って来て
「これ、お弁当作ってきた。食べて。」
とかなりのボリウムを推定させる包みをくれた。
周囲の男子どもが寄って来て
「なに?なに?」とうるさかったので
「辞書だ」と言ってごまかして追い払う。
ちらっとでも中身を察知されようものなら
こっちがちょっと目を離した隙に
ハイエナよりもキレイにすべてを食い尽くされてしまうので、油断がならない。
むしろハイエナに守ってもらいたいくらいである。
檻の中での弁当の強奪を何とか退けて、
3時間半後、飼育係の仕事を終了。
書道教室をやる栄光学院に場所を移動する。
一刻も早く、と思う気持ちが
ボクを走らせる。
ビルの自動扉を掻い潜り、
エレベーターが6階に着くのをイライラして待ち、
着いたと同時にダッシュ。
そしてトイレへ。
小便を我慢していたのだ。
すっきりした後で
徐に手を洗い、うがいもして、教室へ。
そして弁当と対峙する。
包みを開ける。2段になっている。
片方を開ける。ご飯に昆布とおかかの高級ふりかけがまぶしてある。空きっ腹には視覚的刺激だけで涎ものである。
もう片方を開ける。
ウインナーがタコである。
ウインナーがタコである。
ウインナーがタコである。
しかも2匹。
しかも2匹。
しかも2匹。
かわいい。
ハンバーグに出汁巻き卵、
ソーセージにサラダにデザート
味も見事にグッド、
キュートにフィットだったのである。
ん?
おいおい違うよ、違うよーっ。
宿題忘れた罰に無理やりに持ってこさせたんじゃないよ。
あ”?
通知表の点数上げてやるからとかいって騙したんでもないぞ。
ちがうちがーーうっ。
すべては人徳ですよ、人徳。人徳なんですよ。
え、オレの?
違うよ、彼女の人徳。
というわけで幸せなひと時を満喫した。
これが毎週続くなら土曜の職場も楽しみになるんだけどなあ、
と、
さっきお湯を入れたばかりの『日式豚骨拉麺』のできあがるのを待ちながら思う冬の寒い夜である。
(しかもこれ、
入ってるはずのカヤクがないではないか。
さすが香港製。ありえないことが普通にある。
が、インターナショナルな食事だからいたしかたない。
店まで文句を言いに行く気力がないので
素ラーメンのまま、
麺だけすすることになるのであった…。)
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