「れん」というのは通り名(なのか?)です。
本名は「ひとし」で、「仁之」と書きます。
「何で、れんなの?」
これまでに53,148回あった質問です。
一々答えるのが面倒なので名刺の裏にその成り立ちの詳細を印刷してあります(見開きで4ページです)。以下がそのコピペです。
シドニーに来た当時、ボクは人と会うたびに自己紹介を繰り返し、その結果にいつも顔をしかめていました。もともとそんな顔であったわけじゃありません。
「Hi, HITACHI!」
俺は大手家電メーカーかよ。
「I'm not HITACHI. HITOSHI!」
「I know! You are HITACHI!」
わざと言ってねぇか?
別に日立製作所のことが嫌いだというわけではありません。日立より東芝や松下がお気に入りというわけではないのです。どの会社にも満遍なく大変お世話になっており、何れにも深く感謝しています。が、そういう問題ではないのです。
個としてのプライドの問題です。
というわけで太陽がサンサンとのんきに紫外線を撒き散らす中、日々黙々と打開策を講じていました。
その当時ボクは台湾人の兄弟と一緒に生活してました。彼らはボクの苦悩を知っていたので兎に角「HITACHI」にならないよう、殊更に「to」を強調ながらボクの名前を呼ぶのです。
「Hey, HI”TO”SHI! Come on!」
確実におかしい。彼らが真剣であればあるほどおかしい。
「Hurry up, HI”TO”SHI!! Come on!」
本当は馬鹿にしてねえか?
そんな苦悩を背負って血と汗と涙に塗れて見知らぬ土地生きているボクに、ある日兄の彦佑が一つの貴重なアドバイスをくれたんです。「「REN」はどう?」
中国語で「仁」は「ren」と発音します。(ちなみに「人」も同じ発音です)英語の発音のrenと完全に同じではないんですがピン印で書けばそうなります。
暗黒の世界に身を落としていたボクの伸ばした手の先に、一筋の光明が差し掛かりました。
ボクは立ち上がって自らの足で大地を踏みしめ、その光に向かって歩を踏み出しました。最初が右足だったか左足だったかまでは覚えていません。
「レンか…。」
<つづく>
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