加工されて市販されている飲食物には必ず賞味期限というものがある。
これがあるから、それを口にする前の「疑い」が軽くてすむ(完全に信じているわけではない)。
今日のシドニーはいい天気。いわゆる快晴。部分的には雲ひとつない。
そんな真夏の爽やかな朝、会社に到着してすぐに朝食の準備にかかる。
朝食といってもドライフルーツ入りシリアルにミルクを入れて、あとは幾つか果物の皮を剥いてフルーツサラダを作るだけである。そして日本茶を入れる。これもティバック。会社のクリスマスプレゼントで当たったのだ。
うちの会社では結構多くの人がこうして会社に来てから朝食をとる。サンドイッチを作ったり、トーストしたり、それはめいめい違うんだけど。
さて、フルーツサラダ(りんご、グレープフルーツ、バナナ、イチゴ)の準備が整って、あとはシリアルにミルクを入れるだけ。おもむろに冷蔵庫を開けてミルクをとる。
と、賞味期限が12月13日。過ぎてから一週間も寝かせられていたらしい。中身をシンクに捨てて次のミルクを。18日、19日、おいおい、こんなに大量にミルクがあるのにみんな期限切れかよ。結局すべてを確認して、切れているものをドボドボ捨てる。
と、そのとき、わきっちょのファンタオレンジのペットボトルが視覚を刺激した。作業の流れって感じで一応チェック。
29 SEP 04
えっ?
ちょっと思考が停まる。動きも止まる。
2004年9月28日?
今日何日?
がーーーーっ。
我に返ったボクは咄嗟にそれを冷蔵庫に戻し、ドアを閉めた。
な、なんで1年以上前のファンタがこんなところにっ、実験?
様々な疑惑が脳裏をよぎる。
窓の外のハイドパークでは、青く茂った木々が朝日に照らされて眩しい。その向こうのビルの窓ガラスも真夏の太陽でキラキラと輝いている。
ボクは深呼吸をしたあと、もう一度冷蔵庫を開け、ファンタを取り出した。オレンジ味だ。
ボクはこの事実を誰かとシェアしたくて、たまたまキッチンに入ってきた人事部長に見せた。「あら、それ、誰かが飲んでるはずよ。だって、先週末に冷蔵庫の掃除したときにはなかったもの。」
「えっ…」
セミたちの鳴き声が遠くに微かに聞こえていた。
<つづく>
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