変な奴

オフィスに変な奴入ってきた。

韓国人。

6時過ぎてるから、ビルの正面玄関はセキュリティかかってるはずなんだが。

ノックが聞こえたから腰を上げると、奴は勝手にドアを開けて、

許可も得ずにつかつかと入り込んできて、奥のソファーにどかっと座ったんだ。

びっくりしない?

分かりやすいかどうかわからないけど、

ジャイアン(たけしね)が幅83%に縮んだかんじ。

ふてぶてしさは一緒。

王様みたいにどっかと足を広げてソファーに座りながらの第一声。

"I am looking for a job. I can work for you."

「はあ?」って思うよ。「はああああ???」って。

何を言っているのだ、この男は。

突っ込みどころ満載だろーよ。

”Who are you? How did you come in this building?”って聞くだろう、聞くだろう。そうとも、聞くさ。

そんな俺の質問は全く無視して、仕事はないのかって聞くわけよ。

「どうやってこのビジネスはじめたんだ?」「いくらかかった?」

そんな奴の質問は全く無視して、お前は誰なんだって聞くわけよ。

「どうやってリフトを上がってきたんだ?」「キーを持っているのか?」

全くかみ合わない質問をぶつけ合い、俺の眉間の皺が深くなったとき、

奴が立ち上がって窓のほうに歩をすすめ、言った。

「将来俺はあの駅ビルみたいなビルを建てるぞ。あのウエストフィールドみたいなビルを建てるぞ。知ってるか、ウェストフィールド。」

「はあ?」って思うよ。「はああああ???」って。

何を言っているのだ、この男は。

突っ込みどころ満載だろーよ。

”Ok,ok. You can do it by yourself, but not with meだよ、ビル建てたいなら、建設会社にいけよ、ここは書道教室なんだよ。‘'

「いや、俺はチャイニーズドローイングも習いたいんだよ」

「俺はチャイニーズじゃないよ、ジャパニーズだよ。もう早く出て行ってくれよ」

そう言ってドアのほうに少しずつ押しやっていく。

「何だよ、仕事ないのか」

「ないよ。大体お前は誰だよ」

「俺はz-sc*8/*crfx。お前の名前は」

「俺の名前なんかどうでもいいんだよ、とにかく出て行ってくれよ」

握手を求めてきたのをかわし、ドアの外へ出す。

「Ok. 仕事ができたら俺に連絡してくれ。サンキュー、ボス」

何がボスだよ、連絡先も知らないし、

っていうか、知ってても連絡しないし、

っていうか、仕事なんかねえし、

っていうか、俺に仕事をくれっての。

ドア閉めて、ロックして、深呼吸した。

何?

RENCLUB/Ren Yano

REN Yano -Japanese Calligrapher gained Australian PR as an artist. In 2010 his work 'place of origin' became a national property of JPN. Also he was conferred Consul-General's Commendation on in 2016.

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