展覧会10日目が終了した。
今日は朝からクソみたいに嫌なことがあって、これだからオージーは…とはらわたが煮える思いだったが、だからと言って文句を言っても埒が明かないからひとつひとつ地道にゆっくり片づけた。
と、悪いことがあればいいこともある。
不思議なことだが、本当のことだ。
ワークショップに来てくれたインドネシア人の女の子は、初めてだと言ってたが物凄く上手に作品が書けた。とても嬉しい。
いろいろと差し入れもいただいた。
本当にありがたい。どうもありがとうございます。
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書家は言霊使いである。
言霊信仰は、怨霊信仰と並んで、古来から日本人独特の信仰だ。自ら信仰していると気が付かないほどの信仰ぶりである。これに問題はない。
さて、人はどういうときに行動するのか。
自らに火の粉が振りかかろうとしていれば、あらゆる手を使ってそれを防ごうとするのは自然な行為だと言えよう。そういう観点から歴史をみれば、教科書に羅列された文字の群れにも血が通う。
さあ、源氏物語だ。
源氏物語の作者は言わずと知れた紫式部である。
今から1000年ほど前の日本の才女中の才女で、中宮の彰子に仕えた。中宮とは天皇の嫁のこと。皇后の次に位する。
彰子の実家は藤原氏で、本名は藤原彰子さん。父親は、「このよをば我が世とぞ思う望月の…」の和歌を詠んだ藤原道長だ。藤原摂関政治で一時代を築いた、時の最高権力者である。
お気づきにはならないだろうか。
まったくもって、おかしいだろう。
おかしくない? それが思考停止というものだ。
他の国であれば、このシチュエーションで「源氏物語」は絶対にうまれない。絶対にだ。
源氏物語は日本だからこそ、そして平安の藤原時代だったからこそ生まれたのである。
考えて欲しい。最高権力者の道長が娘の部下のパトロンとして物語を書かせるなら主人公は誰だ?タイトルはどうする?
わかりきったことだ。他の追随を許さぬ勢いのスーパーヒーロー藤原氏が主人公の「藤原物語」に決まっているじゃないか。そうじゃないほうがおかしいだろう。
その「おかしい」のが日本人なのだ。
藤原氏はその権力を手に入れるために、ライバルの他家をあらゆる手を使って退けてきた歴史がある。恨みをもって世を去ったものも少なくない。恨みをもって死ねば怨霊になる。高位の者であればあるほどそのパワーは強い。恐ろしい怨霊たち全てが藤原氏に襲い掛かると思えば恐ろしい限りだ。
実例もある。
冤罪で無理やり大宰府に流された菅原道真が怨霊になったではないか。
道真配流の首謀者だった藤原菅根も藤原時平もすぐ死んだ。道真の怨霊は勢いを増し時平の子孫たちを次々と死に追いやる。さらに醍醐天皇の皇太子の命まで奪ってしまう。それに飽き足らずに清涼殿に落雷させると大納言藤原清貫が死んで怪我人も多数出た。天皇も臥せってしまった。恐ろしすぎる。怨霊おそるべしだ。
こんなの偶然に決まってるじゃないか。今ならそう言える。しかしそれを面と向かって1000年前の人々に言ってみるいい。「お前はバカか」と言われるに違いない。
道真は生前の最高位が右大臣だったが、死んでから2階級も位が上がった。左大臣に1つ上げたくらいでは怨霊の道真がおさまらないので、ついに太政大臣に特進させた。怨霊は何よりも恐ろしいのだ。
源氏物語では主人公のイケメン光源氏がモテモテでイケイケ。あらゆるタイプの女性を関係をもつ。そしてどんどん出世する。准太上天皇にまで出世してしまう。物凄いのだ。
紫式部という才女中の才女が言霊パワーを駆使しての怨霊の懐柔だ。そりゃ物凄いのも理解できる。
藤原氏が蹴落としてきた人々の怨霊を鎮めるために作らせたのが源氏物語なのである。
ということがあっての、この作品という話。前にも書いた気がするが、今日も一気に書いてストレス発散。
読んでくださった方、ありがとうございました。
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JAMS.TVさんでご紹介いただいています。
https://www.jams.tv/event/125717
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オーストラリア政府公認の書道アーティストれん(矢野仁)氏が主宰する書道教室「れんクラブ(RENCLUB)」による作品展「れんクラブ(RENCLUB)会員書作展2018」が、11月20日(火)から12月3日(月)の約2週間にわたって、チャッツウッドにある多目的施設コンコース内のアートスペースにて開催される。
れん氏は1996年よりシドニーで活動しており、2010年に発表した作品「ふるさと」は、日本外務省により日本の国家財産として承認され、現在はキャンベラの日本大使館に収蔵されている。2013年には、ハリウッド映画「ウルヴァリン(The Wolverine)」の制作に書家として参加し、2016年に公開された「キング・オブ・エジプト(Gods of Egypt)」ではセットフィニッシャーとして参加した。
自身のパフォーマンスにおいて輝かしい功績を残す一方で、書道の魅力を伝えるべく、書道教室やイベントのワークショップなどでも精力的に活動している。
同書作展では、毛筆やペン字など、伝統的なものから現代的なものまで、1年間の稽古の集大成を見せるさまざまなスタイルの作品が並ぶ予定だ。中華系の競書会で入選を果たした子どもたちの作品も展示され、日本の「書」の美しさを感じられるだけではなく、自由に表現された作品を「アート」として楽しめる。
シドニーで、日本の「書道」にあらためて触れてみませんか?12月3日(月)まで開催しているので、ぜひお見逃しなく。
イベントのお問い合わせはこちら↓
(02)89703575
renclub@gmail.com
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