山本山

8月21日のシドニーなんだが、どうにも寒くて困る。

いろいろ困ることはたくさんある、というより毎日困ることだらけだが、寒いのはその上位中の上位。

その寒い中、お稽古に通ってくださる皆さんには本当に感謝する。

身を刺すような冬の冷気が襲ってくる中を、その猛威に抗って震えながらも自ら歩を進め、遠く遠くのチャツウッドまで来てくださるのだ。ありがたい。

なにか一つでも実にして帰っていただきたいと思い願い祈る。

今日は山冠の漢字が出て、その草書体の書き順が話題になった。

「山」の字と言えば「山本山」である。昔から(俺の中では)そう決まっている。このロゴは物凄くカッコいいのだ。「山」の字はもともと難しいがこれは見事に書き切っている。

(勝手にロゴを教材に使って申し訳ないが、大丈夫だろうか。営利目的でなく、文化交流と教育のためと思っていただけると大変にありがたい。)

皆さんは何気なく山本山の海苔を朝晩問わずに無邪気にバリバリ食っているだけだろうが、いや旨いから当然そうなってしまうのも頷けるところだが、たまにはそのロゴをじっくりと見つめてほしい。

最初の山の字は学校で習う書き順で書いてある。ガッチリ引き締まって寸分の隙も無い。実にかっこいい。

もう一つの山の字を見る。そう。左から鍵カッコ閉じるを初めに書いているのが分かるだろう。そして跳ね上がって真ん中の画に行って、そこから右端に飛んでいる。同じ「山」でも最初の文字と書き順を変えてあるのである。

えっ、変な書き順?馬鹿をお言いでないよ。もちろんこの書き順は「アリ」である。

雰囲気もちょっと違う。一文字目は引き締まってガッチリした雰囲気だが、二文字目は懐に余裕があって寛容な感じがする。

第一画目の角を曲がってからの運筆にグンッとのびがある。短い線だが素敵な線だ。文字の内側に余白があるのも一文字目と異なっていて、それが懐の広さを感じさせるのだろう。

飛ばしてしまったが、「本」の字の書き順も文科省が小学生に推奨?しているのとは違うことにお気づきか?

「大」を書いてから「十」である。かっこいい。

俺の好みは大の三画めの右払いをすうっととけるように引き放つやつだが、これは次の十へ連綿させてある。

それに山と本なら本のほうが字が大きくなりそうなところを敢えて抑えてあるのも最後の山を生かすためだろう。

山本山のロゴの驚くべきカッコよさに気づいていただけただろうか。

というわけで、時間が無くなったのでここらへんでおしまいにしとく。

https://www.yamamotoyama.co.jp/

RENCLUB/Ren Yano

REN Yano -Japanese Calligrapher gained Australian PR as an artist. In 2010 his work 'place of origin' became a national property of JPN. Also he was conferred Consul-General's Commendation on in 2016.

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