可哀想なフライパン

先日、ボクが塾から帰ってくると、水球系のシェアメートが野菜炒めを作っていました。

ボクも着替えてキッチンに行き、うどんを煮ようとお湯沸かし。←ボクらは食事は別々

「あ、家賃払います。」

「まじで。じゃあ後で。」

彼は使い終わったフライパンを流しで洗いながらそう言い、ボクはうどんの袋をあけながらそう答えました。

あっ←水泳系 ボクの背中で声が。

「や、家賃の前に…」

彼の声に従って振り返るとちょっと予想できない光景が。

笑顔の彼の右手にはフライパンの丸い方。笑顔の彼の左手にはフライパンの棒の方。

お、おっ、おれてるじゃーーん。

筋肉のみで構成された裸の上半身が放出したエネルギー量の膨大さを物語っています。

「折れちゃいましたね」←折ったんだよ、お前が!

その屈託のない笑顔に、ボクは声もでません。

そこへ現れた登岩系シェアメート、「直そうか?」

な、直るんかい?!

柄の付け根の部分がぽっきりと折れているんです。直るわけがありません。

「無理か。」←あたりまえじゃ!

傷口をみながらそういったかと思うと、今度は予想もしない言葉がボクの聴覚を刺激しました。

「曲げていい?」

えっ?

うどんの袋を持つ手は完全にとまり、開いたボクの口は、ちょっとその広がりを増します。

はーっ!←登岩系気合一発

さっきまで丸かったフライパンの鉄部分は、曲げられたコインのようにクイッって半分に折れ曲がりました。←何故…

筋肉のみで構成された彼の上半身も放出したエネルギー量の膨大さを物語ります。

←お前、初めからその気で…直す気なんてなかっただろ!

おおーーっ

拍手して称える水泳系と満足そうな登岩系。←おいおい

きみら、本当に人類か…?力が有り余ってるからといって、俺んちのものをそうやって破壊していかないでね。←しかも笑顔で。頼むから。

RENCLUB/Ren Yano

REN Yano -Japanese Calligrapher gained Australian PR as an artist. In 2010 his work 'place of origin' became a national property of JPN. Also he was conferred Consul-General's Commendation on in 2016.

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